映画『爆弾』は、ミステリーランキング2冠を獲得した呉勝浩の傑作を原作に、豪華キャストと圧倒的な映像美で”正義と悪”の境界線を描き切る衝撃作です。山田裕貴×佐藤二朗の火花散る演技合戦、『帝一の國』『キャラクター』などの永井聡監督が手掛ける緊迫の心理サスペンスが、あなたの心に新たな”爆弾”を投下します。
これから映画館で『爆弾』を観るあなたに、物語の深みと見どころを徹底ガイド。本記事を読めば、登場人物の動機も仕掛けの妙もより深く堪能できること間違いなし!
1. 原作の魅力
1-1.原作は呉勝浩の傑作小説
『爆弾』は2022年4月に講談社より刊行され、「このミステリーがすごい!2023年版」と「ミステリが読みたい!2023年版」の両方で第1位を獲得した、まさに令和を代表するミステリー小説です。
2024年7月には講談社文庫より文庫版が発刊され、さらに多くの読者を獲得。2024年には続編『法廷占拠 爆弾2』も発表され、シリーズとして大きな話題を呼んでいます。
この小説は、東京を舞台にした連続爆破事件と、取調室での緊迫した心理戦を同時進行で描く斬新な構成が高く評価されています。単なる犯人探しではなく、「正義とは何か」「悪とは何か」という哲学的な問いを投げかける、深い人間ドラマです。
1-2.原作者・呉勝浩のプロフィールと創作秘話
呉勝浩は1981年青森県八戸市生まれの作家で、大阪芸術大学映像学科を卒業後、2015年に『道徳の時間』で第61回江戸川乱歩賞を受賞しデビューしました。
その後、『白い衝動』で第20回大藪春彦賞、『スワン』で第41回吉川英治文学新人賞および第73回日本推理作家協会賞を受賞するなど、数々の文学賞に輝く実力派作家です。『スワン』『おれたちの歌をうたえ』『爆弾』と3作品連続で直木賞候補となり、現代ミステリー界を牽引する存在となっています。
映像学科出身という経歴を活かし、映像的な構成と臨場感あふれる描写が特徴。『爆弾』でも、映画的なカット割りや臨場感のある描写が色濃く反映されています。
1-3.読者の反応と原作の見どころ
『爆弾』は、緻密な心理描写と緊迫したプロットで読者を強く惹きつけています。
取調室での攻防と爆弾捜索が交互に描かれる構成は、読者を飽きさせることなく物語へ引き込みます。特に、謎の男・スズキタゴサクが放つ「爆発したって別によくないですか?」という挑発的な台詞は、読者に衝撃を与え、正義や社会について深く考えさせられると評判です。
物語はサスペンスだけでなく、社会的メッセージも深く織り込まれており、読後には考えさせられる余韻が残ります。爆弾魔スズキの言葉や行動が社会全体の闇を映し出す点も見どころです。
2. 映画『爆弾』の基本情報
2-1.あらすじ
街を切り裂く轟音と悲鳴、東京をまるごと恐怖に陥れる連続爆破事件。すべての始まりは、酔って逮捕されたごく平凡な中年男・スズキタゴサクの一言だった。
「霊感で事件を予知できます。これから3回、次は1時間後に爆発します」
爆弾はどこに仕掛けられているのか? 目的は何なのか? スズキは一体、何者か? 次第に牙をむき始める謎だらけの怪物に、警視庁捜査一課の類家は真正面から勝負を挑む。
スズキの言葉を聞き漏らしてはいけない、スズキの仕草を見逃してはいけない。すべてがヒントで、すべてが挑発。密室の取調室で繰り広げられる謎解きゲームと、東京中を駆け巡る爆弾探し——リアルタイムで交錯する緊迫のサスペンス。
「でも爆発したって別によくないですか?」――その告白に日本中が炎上する。
2-2.制作スタッフ
監督 | 永井聡 |
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脚本 | 八津弘幸・山浦雅大 |
原作 | 呉勝浩『爆弾』(講談社文庫) |
撮影 | 近藤哲也 |
音楽 | Yaffle |
主題歌 | 宮本浩次「I AM HERO」 |
永井聡監督が『キャラクター』『帝一の國』に続いて手掛ける、緊迫のサスペンス・エンターテインメントです。主題歌はロックバンド「エレファントカシマシ」の宮本浩次が担当する「I AM HERO」で、作品の力強いメッセージと情感を増幅させる役割を果たしています
2-3.監督・永井聡の過去作と作風
永井聡監督は『いぬのえいが』(2005年)で短編監督デビューし、その後『ジャッジ!』(2014年)、『世界から猫が消えたなら』(2016年)、『帝一の國』(2017年)、『恋は雨上がりのように』(2018年)、そして『キャラクター』(2021年)など注目作を次々と手掛けてきました。
本作では、原作の持つ緊迫感とリアリティを損なうことなく、映像ならではのダイナミックな表現と、役者たちの細やかな演技を引き出す演出で、観客を物語に引き込みます。渡部篤郎は本作を「黒澤明監督の『天国と地獄』のような、高尚なエンターテイメント性に特化した稀有な作品」と評しています。
3. 映画「爆弾」の見どころ
3-1.ストーリーの魅力
本作最大の魅力は、予測不能な展開と濃密な心理戦が最大の魅力です。取調室での密室劇と東京各地での爆弾捜索が同時進行で描かれる斬新な構成で、刻一刻と迫る爆発のタイムリミット——観客も登場人物と同じ緊張感を味わえます。
謎の男・スズキタゴサクが放つクイズのようなヒント、そして彼の挑発的な言葉の数々。類家刑事との言葉の応酬は、まさに知的バトル。一方で、現場で必死に爆弾を探す倖田や矢吹、等々力たちのドラマも並行して描かれ、多層的なストーリーが展開されます。
そして何より、「正義とは何か」「社会とは何か」という哲学的な問いが物語の根底に流れており、単なるサスペンスではない深みがあります。
3-2.演出や映像美
永井聡監督ならではの映像センスが光る本作。取調室の閉塞感と緊張感を表現する照明や構図、東京の街並みを疾走するスピード感あふれるカメラワーク、そして爆発シーンの迫力——すべてが圧倒的なクオリティです。
原作者の呉勝浩も撮影現場を訪れ、「300人のエキストラが一丸となった大規模なシーンは圧巻だった」と絶賛。映画ならではのスケール感と臨場感は必見です。
3-3.音楽や演技のポイント
音楽はYaffleが担当し、緊迫感を煽る劇伴から静かな場面まで、物語を盛り上げます。主題歌は宮本浩次の「I AM HERO」。「本当の自分の声」をテーマにした楽曲が、映画のメッセージと見事にリンクしています。
演技面では、山田裕貴と佐藤二朗の長台詞の応酬が圧巻。渡部篤郎、伊藤沙莉、染谷将太ら実力派キャストが揃い、それぞれのキャラクターが作品に深みを与えています。特に佐藤二朗の怪演は、「悪魔的」です。
3-4.心理戦の魅力
取調室での類家とスズキの対決は、まさに心理戦の極致。スズキの一言一句に隠されたヒントを読み解く類家の推理力、そしてスズキの不気味な余裕——観客も一緒に謎解きに参加できる構成になっています。
緊迫した密室劇、手に汗握る爆弾捜索、深い人間ドラマ、そして哲学的な問いかけ——すべてが融合した、まさに”爆弾級”の映画になっています。
4. キャスト紹介
4-1.主要キャスト
類家(山田裕貴)
警視庁捜査一課・強行犯捜査係の刑事で、スズキタゴサクと真っ向から対峙する交渉人。山田裕貴が演じる類家は、もじゃもじゃの天然パーマに丸メガネの野暮ったい見てくれながら、ギラリとした鋭い観察眼と推理力をもつ。人を信じすぎて傷つくことを恐れない、真っ直ぐな性格。
スズキタゴサク(佐藤二朗)
取調室で刑事たちを翻弄する“爆弾魔”として物語の中心に立つ謎の中年男。酔って暴行を働き逮捕された。取調室で名前以外のすべての記憶は失っていると主張し、霊感で刑事の役に立つことができると申し出る。爆破予告とクイズを繰り出しながら、刑事たちを翻弄していく不気味な存在。
4-2.その他のキャスト
倖田(伊藤沙莉)
沼袋交番勤務の巡査。爆弾捜索の最前線に立つ行動派の警察官。先輩の矢吹と常に行動を共にする。スズキタゴサクが問題を起こした酒屋に臨場し、野方署へ引き渡す。猪突猛進ながらも真っ直ぐな正義感を持ち、恐怖を前にしても市民を守ろうとする姿勢が印象的。
等々力(染谷将太)
スズキタゴサクをはじめに聴取する、野方署の刑事。なぜかスズキに気に入られ、爆発に関する予言を打ち明けられる。感情の抑揚を抑え冷静沈着な態度で事件に臨みながらも、徐々にスズキの危うさに気づき苦悩します。
矢吹(坂東龍汰)
沼袋交番勤務の巡査長。倖田(伊藤沙莉)のバディとして事件解決に奔走する若手警察官です。慎重さと冷静な判断力を兼ね備え、倖田との絶妙なコンビネーションで劇中の緊張感とテンポを生み出します。
伊勢(寛一郎)
野方署の巡査長。取調室でスズキタゴサクの事情聴取につきそい、見張り役を務める。
清宮(渡部篤郎)
警視庁捜査一課・強行犯捜査係の刑事。スズキが仕掛けるゲームに付き合い、対話を深め情報を引き出そうとする。
その他にも、片岡千之助、中田青渚、加藤雅也、正名僕蔵、夏川結衣など、実力派キャストが脇を固め、物語に深みを加えています。
5. 映画『爆弾』ロケ地ガイド
映画『爆弾』の撮影は、主に都内のビルの一室に設けられた取調室セットや幼稚園など多様なロケ地で撮影した。取調室の撮影は、都内ビルの一室をセットに使い、脚本の冒頭から順に撮影を進める「順撮り」によって行われました。
5-1.東京都板橋区
板橋区三園にある「みその幼稚園」で撮影が行われました。周辺にある芝生の広い園庭や平屋建ての建物など、ロケ地としての魅力が多く、様々な映画やドラマの撮影場所として使用されています。
□〒175-0091 東京都板橋区三園1丁目30−1
5-2.茨城県守谷市
関東鉄道常総線の新守谷駅近郊で、阿佐ヶ谷駅のシーンとして撮影が行われました。300人規模のエキストラが集結し、大規模な爆弾捜索シーンが撮影されたと見られています。原作者の呉勝浩も撮影現場を訪れ、エキストラたちの熱演を絶賛しました。
5-3.千葉県 ロングウッドステーション
2025年2月に千葉県にあるロングウッドステーションで撮影が行われました。この場所は、あらゆる状況を撮影できるロケ地としても有名なスポットです。爆弾が爆発する秋葉原のシーンを撮影しました。
秋葉原ラジオ会館が爆破されてる光景かなり衝撃的だな…
(映画 爆弾の予告)https://t.co/EJ6wYZ5d8A pic.twitter.com/7LMKhOMRUQ— 美魚(みお) ダボス商工会議所 (@milspec_mi) August 2, 2025
□〒297-0231 千葉県長生郡長柄町山之郷67−1
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その他にも茨城県行方市など関東近郊で撮影が行われており、東京の街並みがリアルに再現されています。
6. まとめ:映画『爆弾』を見るべき理由
【見るべきポイント】
・日本最大級のミステリーランキング2冠を獲得した原作の映画化
・呉勝浩の傑作を、永井聡監督×八津弘幸脚本で完全映像化
・山田裕貴×佐藤二朗の火花散る演技合戦
・取調室の密室劇と爆弾捜索のダブル展開
・音楽・映像・演技、すべてが”爆弾級”のクオリティ
・「正義とは何か」を問いかける深い人間ドラマ
ミステリーを知らない人も、緊迫のサスペンスと深い人間ドラマに心を揺さぶられること間違いなし。映画館で、あなた自身の”正義”と向き合う覚悟はあるか?