映画『おーい、応為』は、江戸時代を舞台に「光と影の表現」で天才と謳われた葛飾応為の葛藤と挑戦を描く感動作です。長澤まさみ×永瀬正敏×髙橋海人の豪華キャストと大森立嗣監督の繊細な演出で、江戸時代を駆け抜けた女性アーティストの”自分らしい生き方”を描きます。
撮影は京都を中心に行われ、時代の息遣いが感じられる美しいロケ地が作品世界を彩ります。歴史と芸術の融合を堪能できる一作です。
これから映画館で『おーい、応為』を観るあなたに、物語の深みと見どころを徹底ガイド。この記事を読めば、スクリーンの向こうの江戸の世界にもっと深く入り込めること間違いなし！
1. 原作の魅力
1-1. 原作は飯島虚心の『葛飾北斎伝』と杉浦日向子の『百日紅』
『おーい、応為』は、明治時代の美術史研究家・飯島虚心による『葛飾北斎伝』（岩波文庫刊）と、江戸文化研究家として名高い杉浦日向子の杉浦日向子 『百日紅』（筑摩書房刊）より「木瓜」「野分」の2つの作品を原作としています。
『葛飾北斎伝』は、北斎の弟子でもあった飯島虚心が記した貴重な一次資料で、北斎と応為の親子関係について具体的な記述があります。一方、『百日紅』は杉浦日向子が江戸時代の絵師・葛飾北斎とその娘であるお栄（葛飾応為）を中心に、絵師たちの人間模様を描いた時代漫画です。
1-2. 原作者たちのプロフィールと創作の背景
飯島虚心（1841-1901）は、明治期の日本の浮世絵研究者・美術史家です。1893年に葛飾北斎の伝記『葛飾北斎伝』を執筆し、北斎研究の基礎を築きました。応為については「美人画は父に勝る」と評価しており、当時としては珍しい女性絵師への高い評価を記しています。
杉浦日向子（1958-2005）は、江戸文化研究の第一人者として知られ、漫画家としても活躍しました。『百日紅』では、応為を「おーい」と呼ぶ父・北斎との関係や、絵師として生きる厳しさと喜びを、豊富な資料調査に基づいて描写しています。
1-3. 読者の反応と原作の見どころ
両作品とも、江戸時代の浮世絵界の内情や、父娘の複雑な関係を詳細に描いており、読者からは「応為という女性の生き方に感動した」「江戸時代の芸術家の世界が手に取るようにわかる」と高く評価されています。
特に応為の「美人画では父を凌ぐ」と言われた才能や、離縁を経験しても絵師として自立する強さは、現代の女性読者にも大きな共感を呼んでいます。
2. 映画『おーい、応為』の基本情報
2-1. あらすじ
江戸時代。浮世絵師・葛飾北斎の娘であるお栄は、ある絵師に嫁ぐもその絵を見下す発言をしたことで離縁となり、父のもとに戻る。絵や画材が散らかり放題の貧乏長屋で、茶も入れられず針仕事もできないお栄だったが、絵筆を握ると類まれな才能を発揮する。
父・北斎から「応為（おうい）」という号を授かったお栄は、当時としては珍しい女性の浮世絵師として、光と影を巧みに操る独自の表現で美人画の分野で名を馳せていく。美人画の名手・渓斎英泉との友情、そして絵師として生きる覚悟を決めるまでの日々を描く。
2-2. 制作スタッフ
| 監督・脚本 | 大森立嗣 |
|---|---|
| 原作 | 飯島虚心『葛飾北斎伝』 杉浦日向子『百日紅』「木瓜」「野分」 |
| 製作 | 太田和宏/木村省悟/吉村知己 |
| 撮影 | 辻智彦 |
| 音楽 | 大友良英 |
| 浮世絵指導 | 向井大祐/松原亜実 |
大森立嗣監督が『日日是好日』『星の子』に続いて手掛ける、人間の内面を丁寧に描く作品です。
2-3. 監督・大森立嗣の過去作と作風
大森立嗣監督は、『MOTHER マザー』『まほろ駅前多田便利軒』シリーズなどで知られる実力派監督です。人間の心の機微を繊細に描く手腕に定評があり、特に女性の内面描写において秀逸な作品を数多く手掛けています。
『日日是好日』では樹木希林との最後のタッグで茶道を通じた人生観を、『星の子』では家族の絆と信仰の問題を、そして本作では江戸時代の女性絵師の自立と芸術への情熱を描いています。大森監督は「応為は時代を超越した現代的な女性だった」と語り、現代の女性観客にも響く普遍的なテーマとして描きました。
3. 映画「おーい、応為」の見どころ
3-1. ストーリーの魅力
本作最大の魅力は、江戸時代という男性社会で世間に流されることなく自分の絵を追い求める姿を描いた人間ドラマです。応為は夫の絵を見下し離縁された後も、父のもとに出戻りますが、そこで見つけたのは絵師としての自分でした。
「美人画では父を凌ぐ」と称された応為の才能開花の過程、美人画の名手・渓斎英泉との友情、そして何より「北斎の娘」という看板を背負いながらも独自の道を歩む強さが、現代の女性にも通じる感動を与えます。
3-2. 演出や映像美
大森立嗣監督ならではの繊細な演出により、江戸時代の庶民の暮らしや浮世絵師の仕事場がリアルに再現されています。特に、絵や画材で散らかった北斎の長屋の様子や、応為が絵筆を握る際の集中した表情など、細部まで丁寧に描写されています。
京都を中心とした美しいロケーションも見どころの一つ。順撮りで進めらた撮影初日でキャストの心情変化がより自然に表現されました。
3-3. 浮世絵制作シーンの迫力
本作では、浮世絵制作シーンの迫力が圧倒的に描かれています。浮世絵指導を担当した向井大祐さんと松原亜実さんの監修により、絵の具の調合から筆の動かし方まで、リアルな制作シーンが再現されています。
特に応為が得意とした光と影の表現技法や、美人画の繊細な描写シーンは圧巻です。長澤まさみも撮影前から浮世絵特有の筆の持ち方を練習し、説得力のある力強い絵師の姿を演じています。
3-4. 江戸時代の女性の生き方
応為の生き方を通じて、江戸時代の女性が置かれた社会的制約と、それに立ち向かう強さが描かれています。茶も入れられず、針仕事もできない応為ですが、絵筆を握ると誰もが認める才能を発揮する姿は、現代の女性の社会進出とも重なるテーマとなっています。
4. キャスト紹介
4-1. 主要キャスト
葛飾応為（お栄）（長澤まさみ）
葛飾北斎の三女であり弟子。離縁を経験しながらも、絵師として自立していく強い女性。「美人画では父を凌ぐ」と言われた才能の持ち主で、光と影の表現に独特の技法を用いる。長澤まさみにとって初の時代劇主演作品。
葛飾北斎（永瀬正敏）
応為の父であり、江戸時代を代表する浮世絵師。「画狂人」と呼ばれるほど絵に執着し、娘の応為を「おーい」と呼ぶ破天荒な人物。永瀬正敏が持つ独特の存在感で、人間味あふれる北斎を演じる。
渓斎英泉（善次郎）（髙橋海人）
美人画で一世を風靡した実在の浮世絵師。応為とは良きライバルであり理解者として描かれる。King & Princeの髙橋海人が時代劇に初挑戦、江戸の粋な絵師を演じます。
4-2. その他のキャスト
魚屋北渓（初五郎）（大谷亮平）
北斎の弟子の一人で、応為の良き理解者。応為にしか見せない一面もある重要な役どころです。
元吉（篠井英介）
三味線を弾きながら端唄を歌う、 お栄と鉄蔵の近所に暮らす住人で応為の相談相手でもある。
津軽の侍（奥野瑛太）
応為の人生に影響を与える武士。藩主のために屏風画を描く依頼を北斎にし続ける。
こと（寺島しのぶ）
応為の母親で家族の絆や葛藤を描き、物語に深みを与えています。
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豪華キャストが織りなす江戸時代の人間模様が、観客を江戸の世界へと誘います。
5. 映画『おーい、応為』ロケ地完全ガイド
本作は2023年10月から11月にかけて、京都を中心に撮影が行われました。その世界観を支えるロケ地は、まるでタイムスリップしたかのような臨場感が魅力です。
5-1. 京都市
京都府では、江戸時代の街並みを再現するため、複数の歴史的建造物や伝統的な地区で撮影が実施されました。古い町家や商店街の風情が、映画の時代設定にぴったりとマッチしています。
大覚寺の大沢池で隅田川に似せて撮影が行われました。
□〒616-8404 京都府京都市右京区北嵯峨八丈町４１
5-2. 京丹後市
京丹後フィルムコミッションの協力でロケ地となりました。この地域は、映画『HOKUSAI』のロケ地にもなりました。
5-3. 南丹市
南丹市は、京都府中部に位置し、豊かな自然と歴史的な町並みが残るロケ地の宝庫として知られています。
応為が心の変化を遂げる重要なシーンの一部が、この美しい自然環境の中で撮影されています。
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映画『おーい、応為』の撮影は、京都の歴史的な街並みと自然環境を最大限に活用し、CGに頼らない本格的な江戸時代の再現を実現しました。
6. まとめ：映画『おーい、応為』を見るべき理由
【見るべきポイント】
・江戸時代の女性絵師という珍しい題材を扱った時代劇
・飯島虚心『葛飾北斎伝』と杉浦日向子『百日紅』という名作を原作とした確かな内容
・長澤まさみ初の時代劇主演×永瀬正敏×髙橋海人の豪華キャスト
・大森立嗣監督による繊細で心に響く演出
・実際の浮世絵制作過程を詳細に再現した映像美
・現代女性にも通じる普遍的な生き方のメッセージ
江戸時代を知らない人も、浮世絵に詳しくない人も、一人の女性が自分らしく生きる姿に必ず感動するはず。「北斎の娘で悪かったな！」と言い切る応為の強さと美しさを、映画館でぜひ体感してください！
