「刑務所や拘置所にいるあの人に、何か届けたいけど、どうすれば…?」そんな時、頼りになるのが「差入屋(さしいれや)」。
でも、ちょっと待ってください!今回ご紹介する映画『金子差入店』は、ただの差し入れ屋さんを描いた物語ではありません。
主人公の金子真司を中心に、ある事件をきっかけに彼の過去が暴かれ、家族の絆が揺らいでいく、ヒューマンサスペンスです。
この記事を読めば、映画を見る前にその見どころをバッチリ把握できますよ!

1. オリジナルストーリーの魅力
1-1. オリジナル脚本の底力
『金子差入店』は、原作漫画や小説に頼らない完全オリジナル脚本です。
監督・脚本の古川豪が、実際に「差入屋」という職業に出会ったことから着想を得て、構想から11年もの歳月をかけて完成させました。
この“知られざる職業”を通して描かれるのは、善悪の彼岸に揺れる人間ドラマ。現実に根ざしたリアリティと、フィクションならではの深い問いかけが絶妙に融合しています。
1-2. “差入屋”という異色の舞台設定
舞台は、刑務所や拘置所に収容された人へ、日用品から書籍、手紙まで様々な品物を届ける「差入屋」。日常の裏側にある“もう一つの現実”を、淡々と、しかし情熱的に描きます。
差入屋の仕事は、ただ物を届けるだけではなく、時に加害者や被害者家族の心にも触れるものです。
1-3. 家族の物語としての魅力
本作のもう一つの軸は、金子一家の家族の絆。事件によって揺らぐ日常、すれ違う心、そして再生への希望…。
家族を守りたいという金子の想いが、観る者の胸に響きます。家族で観るもよし、一人でじっくり味わうもよし――誰もが自分の“家族”を思い出すはず。
2. 映画『金子差入店』の基本情報
2-1.あらすじ
刑務所や拘置所への差入を代行する「金子差入店」を家族で営む金子真司。ある日、息子の幼なじみの少女が殺害される事件が発生し、一家は深い悲しみに包まれる。犯人の母親から差入の依頼を受け、葛藤しながらも仕事を続ける金子。さらに、母親を殺した男との面会を求める女子高生と出会い、2つの事件と向き合う中で金子の過去が明らかになり、家族の絆が揺らいでいくヒューマンサスペンス。
2-2.制作スタッフ
監督・脚本 | 古川豪 |
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製作 | 英田理志/小山洋平/中村浩子/鶴丸智康 |
プロデューサ | 稲葉尚人/成瀬保則/平岡祐子 |
撮影 | 江﨑朋生 |
音楽 | ベンジャミン・ベドゥサック |
主題歌 | SUPER BEAVER 「まなざし」 |
2-3.古川豪監督の才能に注目
メガホンを取るのは、これが長編映画デビューとなる古川豪監督。しかし、そのキャリアは決して浅くなく、「東京リベンジャーズ」シリーズをはじめとする数々の話題作で助監督を務めてきました。
助監督として培ってきた経験と、11年もの間構想を練り上げてきたオリジナル脚本への情熱が、本作には凝縮されています。
古川監督自身、助監督時代に拘置所の近くでひっそりと佇む差入店を目にしたことが、この物語を着想するきっかけになったと語っています。
2-4.映画を彩る主題歌の魅力
主題歌は、人気ロックバンドSUPER BEAVERの書き下ろし楽曲「まなざし」。
実は、古川監督が助監督を務めた「東京リベンジャーズ」シリーズでの縁がきっかけとなり、今回の主題歌制作が実現しました。
SUPER BEAVERの力強く、そして温かい歌声は、本作のテーマである「今この時代を懸命に生きる者たちへの熱い想い」と見事に共鳴し、観る者の心を揺さぶります。
⒊. 映画『金子差入店』の見どころ
3-1.予測不能な展開と深みのあるストーリー
物語は、ある日息子の幼馴染・花梨が殺害されるという事件が持ち込まれるところから始まります。犯人の母親から差入の依頼を受け、金子は“仕事”として淡々と対応しようとしますが、やがて自身の感情と向き合わざるを得なくなります。
さらに、拘置所に通う女子高生との出会いが、二つの事件を交錯させ、金子自身の過去と家族の絆を揺るがしていく展開は、サスペンスとヒューマンドラマが絶妙に絡み合います。
3-2. 演出や映像美
監督のこだわりが随所に光る映像美も必見。割れた植木鉢や白いデイジーなど、象徴的なモチーフが物語に深みを与えます。
また、金子と小島の対峙シーンでは、アクリル板越しの緊張感、カメラワークの巧みさが観る者を引き込みます。
3-3. 社会の“裏側”を描くリアリティ
差入屋という職業を通じて、社会の“見えない部分”に光を当てるのも本作の魅力。事件の当事者だけでなく、その家族や周囲の人々の葛藤も丁寧に描かれています。
観る者に「自分ならどうするか?」と問いかける力強いメッセージが込められています。
3-4. 希望の光と再生の物語
重いテーマながら、ラストには“希望”を感じさせる余韻が残ります。平凡な日常の尊さ、家族の温もり――観終わった後、きっとあなたも誰かに「ありがとう」と言いたくなるはず。
4. キャスト紹介(役名と役どころ)
4-1. 主要キャスト
金子真司(丸山隆平):主人公。差し入れ店「金子差入店」の店主。過去を抱えながら家族のために生きる。感情を抑えきれない人間らしさが魅力。
金子美和子(真木よう子):金子の妻。家族を包み込む優しさと芯の強さで、夫を支える。
金子和真(三浦綺羅):金子夫妻の息子。幼馴染の死に心を痛める。
星田辰夫(寺尾聰):金子の叔父で、先代の差入屋。飄々とした雰囲気で一家を見守る。
4-2. 事件の関係者たち
小島高史(北村匠海):花梨殺害事件の犯人。謎めいた存在で、金子と対峙する。
小島こず江(根岸季衣):息子に差入を依頼する母親。事件の影で苦しむ姿が印象的。
二ノ宮佐知(川口真奈):和真の幼馴染。事件の被害者となる。
4-3. その他のキャスト
村川絵梨、甲本雅裕、岸谷五朗、名取裕子
それぞれ事件や家族に関わる役どころで登場し、物語に厚みを加えます。
5. 映画『金子差入店』ロケ地完全ガイド
『金子差入店』は、撮影は2023年11月から12月にかけて行われ、千葉県を中心に東京都、埼玉県、神奈川県でもエキストラを募集して多くのシーンが撮影されました。
主なロケ地とその特徴を詳しく紹介します。
5-1.千葉県のロケ地
5-1-1.千葉大学 西千葉キャンパス
差し入れ(お店)のシーンなどが撮影されました。
□〒263-8522 千葉県千葉市稲毛区弥生町1−33
5-1-2.千葉市 千葉中央・幕張・市川市
街中のシーンや報道、刑事役など多様なシーンが撮影されました。特に千葉中央では主演の丸山隆平が参加したとみられる撮影が行われています。
5-1-3.船橋市
差入店の店舗や刑務所のシーンが多く撮影され、映画の主要な舞台となっています。

5-2.東京都のロケ地
5-2-1.北区・赤羽(ララちゃんのおうち)
東京都北区赤羽2丁目にある「ララちゃんのおうち」で、赤ちゃんが登場するシーンなどが撮影されました。
5-2-2.葛飾区小菅(東京拘置所前)
拘置所前のシーンが撮影されています。ドラマや映画でもよく使われるロケ地です。
□〒124-8565 東京都葛飾区小菅1丁目35−1
5-2-2.調布市
小学校や会社のシーンが撮影されました。
5-3.埼玉県のロケ地
5-3-1.埼玉県久喜市・新座市
拘置所やその前のシーンが撮影されています。
5-4.神奈川県のロケ地
5-4-1.神奈川県海老名市
刑務所のシーンが撮影されました。
6. まとめ:映画『金子差入店』を見るべき理由
【見るべきポイント】
・オリジナル脚本ならではの新鮮な切り口
・“差入屋”という異色の職業を通じて描かれる人間ドラマ
・家族の絆と再生、許しの物語
・豪華キャスト陣の熱演と、監督のこだわり抜いた演出
・下町のリアルなロケーションと、心に響く主題歌
…と、見どころ満載のヒューマンサスペンスです。
映画『金子差入店』は、刑務所への差し入れ屋という異色の設定を舞台に、予測不能な展開と、人間の心の奥底を深く描いたヒューマンサスペンスです。
主人公・金子真司が、過去と向き合いながら、事件を通して家族の絆を再確認していく物語は、観る者の心を強く揺さぶります。
丸山隆平さんをはじめとする実力派キャストの熱演、古川豪監督の繊細な演出、そしてSUPER BEAVERによる感動的な主題歌「まなざし」が、この作品をさらに特別なものにしています。