映画『火喰鳥を、喰う』は、第40回横溝正史ミステリ&ホラー大賞受賞作を原作に、豪華キャストと緻密な演出で”見えざる恐怖”を描き切る傑作です。水上恒司×山下美月×宮舘涼太が共演し、本木克英監督が手掛ける戦慄のミステリーホラーが、あなたの心に新たな”戦慄”を刻みます。
長野の美しいロケ地を舞台に、戦慄、因果ループ、そして“現実侵食”を描く本作の見どころやキャスト、製作裏話まで徹底解剖。この記事を読めば、スクリーンの隅々まで楽しめること間違いなしです。
1. 原作の魅力
1-1.原作は原浩の傑作ミステリーホラー小説
『火喰鳥を、喰う』は、2020年に第40回横溝正史ミステリ&ホラー大賞を受賞した原浩のデビュー作です。死者の日記を起点とするミステリーホラー作品として、有栖川有栖、辻村深月など多くの作家から絶賛されました。
この小説は戦死した先祖の遺品である日記をきっかけに、現実と過去が複雑に交錯する物語で、存在しないはずの過去が現実を侵食していく恐怖を描いた作品です。ミステリーとホラーが巧みに融合し、読者に深い余韻と戦慄を残します。
1-2.原作者・原浩のプロフィールと創作秘話
原浩(はらこう)は1974年生まれ、長野県伊那市出身の小説家です。2020年「火喰鳥」(後に『火喰鳥を、喰う』に改題)で第40回横溝正史ミステリ&ホラー大賞”大賞”を受賞し、作家デビューを果たしました。ミステリーとホラーを巧みに融合させる作風が評価されており、独特な恐怖と謎解きを織り交ぜた作品でファンを魅了しています。
長野県という地方の風土や歴史、戦争体験者の記憶などを丹念に取材し、リアリティのある設定を構築。故郷への深い愛着と、失われていく記憶への危機感が、この物語の根底に流れています。原作者自身が信州出身であることが、作品の舞台設定や風土描写に深い説得力を与えています。
1-3.読者の反応と原作の見どころ
『火喰鳥を、喰う』は、ホラー小説としての怖さよりも、むしろ謎解きの面白さと、現実が徐々に侵食されていく不安感で多くの読者を魅了しています。現実が次第に侵食される不安感や、生への執着が織りなす深い物語性に引き込まれたとの声が多く、SF的要素も含む新鮮な展開が好評です。
戦争の記憶と現代、生者と死者、現実と幻想の境界が曖昧になっていく描写が大きな魅力です。読者は最後のページまで真相が分からず、読了後も深い思索に誘われる、令和最初の横溝正史ミステリ&ホラー大賞にふさわしい秀作です。
2. 映画『火喰鳥を、喰う』の基本情報
2-1.あらすじ
信州のとある村に暮らす久喜雄司と夕里子の夫婦のもとに、謎めいた日記が届く。それは雄司の祖父の兄で、太平洋戦争末期に戦死したとされる久喜貞市の遺品だった。日記には異様なほどの生への執着が記され、最後のページには「ヒクイドリ、クイタイ」という文字がつづられていた。
その日を境に、墓石の損壊や祖父の失踪など、雄司と夕里子のまわりで不可解な出来事が起こり始める。2人は夕里子の大学時代の先輩で、怪異現象に造詣が深い北斗総一郎に、不可解な現象の解明を依頼する。しかし、存在しないはずの過去が現実を侵食していき、彼らはやがて驚愕の真相にたどり着く。
2-2.制作スタッフ
監督 | 本木克英 |
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脚本 | 林民夫 |
原作 | 原浩「火喰鳥を、喰う」(角川ホラー文庫) |
製作 | 依田巽/夏野剛 |
エグゼクティブプロデューサー | 小竹里美/山下直久 |
撮影 | 藤澤順一 |
音楽 | 富貴晴美 |
主題歌 | マカロニえんぴつ「化け物」 |
監督は本木克英で、「超高速!参勤交代」シリーズや「シャイロックの子供たち」など多彩なジャンルの名作を手掛けてきました。本作では緻密な演出と恐怖を巧みに融合し、原作の持つ独特の世界観を見事に映像化しています。主題歌は人気バンド・マカロニえんぴつが担当し、新曲「化け物」が映画の不気味な雰囲気とキャラクターの心情を鮮やかに表現。
2-3.監督・本木克英の過去作と作風
本木克英監督は、1998年の「てなもんや商社」でデビュー後、多彩なジャンルの映画を手がけています。代表作に「超高速!参勤交代」シリーズや「空飛ぶタイヤ」、「鴨川ホルモー」などがあり、どれもエンターテインメント性の高い作品です。エンターテインメント性を重視しながらも、人間ドラマの機微を丁寧に描く作風で定評があります。
特に池井戸潤原作の『空飛ぶタイヤ』『シャイロックの子供たち』では、複雑な人間関係と社会問題を絶妙なバランスで映像化。本作では、ミステリーホラーという新たなジャンルに挑戦し、「見えざる恐怖」を観客の心に刻み込む演出で、本木監督の新境地を開拓しています。
3. 映画「火喰鳥を、喰う」の見どころ
3-1.ストーリーの魅力
舞台は現代の信州。戦死した先祖の日記をきっかけに、現実と過去の境界が曖昧になっていく恐怖を描きます。日記に記された「ヒクイドリ、クイタイ」という謎の言葉から怪異が始まり、単なる超常現象としてだけでなく、家族や夫婦の絆、戦争体験の記憶、現代人の孤独や不安といった深いドラマが交錯していきます。物語は緊張感を絶やさず、観客は登場人物とともに謎の渦に巻き込まれ、驚きのラストまで目が離せません。
3-2.演出や映像美
本木克英監督ならではの丁寧な演出と、信州の美しい自然を背景にした映像美が作品に深みを与えています。日常の風景の中に潜む不穏な空気、何気ない会話に隠された恐怖の兆候など、細部まで計算された映像表現が観客の不安感を煽ります。
特に信州の自然や重厚な家屋を活かしたロケーション、繊細なライティングと美術によって、日常の空間が少しずつ異界へと変貌する体感的な映像が魅力です。特殊効果やVFXも効果的に使用され、怪異のリアルな存在感を生み出します。
3-3.今までにない緊張感を生み出す主題歌
マカロニえんぴつが書き下ろした主題歌「化け物」は、自分を蝕んでいく不安や孤独感を、火喰鳥のような”見えざる化け物”になぞらえた楽曲として、作品世界を見事に表現しています。ボーカルのはっとりは、「登場人物たちの孤独や疑心、狂気へと引き込まれる様子、そして不気味な村の雰囲気を“見えざる化け物”として音楽に落とし込んだ」と明かしています。
3-4.ミステリーホラーの世界の魅力
戦争の記憶や家族の歴史、現代社会の孤独感など、日本人なら誰もが心のどこかで感じている不安や恐怖を巧みに描いた作品です。単なる怖さではなく、「もしかしたら自分の身にも起こりうるかもしれない」というリアルな恐怖が本作の魅力です。
謎解きの要素も充実しており、ホラーが苦手な方でもミステリーとして楽しめる構成になっています。壮大な人間ドラマ、美しい信州の風景、心に響く音楽と演技、そしてミステリーの醍醐味が一体となった、まさに”傑作級”の映画です。
4. キャスト紹介
4-1.主要キャスト
久喜雄司(水上恒司)
主人公で信州に暮らす、先祖の日記をきっかけに怪異現象に巻き込まれていく。『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』『九龍ジェネリックロマンス』で注目を集める水上恒司が、映画単独初主演を務める。現実と幻想の境界で揺れる男性を、繊細かつ力強い演技で表現。
久喜夕里子(山下美月)
雄司の妻で、夫と共に怪異現象に立ち向かう。『六人の嘘つきな大学生』『山田くんとLv999の恋をする』などで活躍する山下美月が、芯の強い女性を演じる。夫を支えながらも、自身も恐怖に立ち向かう勇気を見せる重要な役どころ。
4-2.その他のキャスト
北斗総一郎(宮舘涼太)
夕里子の大学時代の先輩で、怪異現象に造詳が深い謎めいた男性。Snow Manの宮舘涼太が、これまでのイメージとは異なる、どこか怪しく危険な空気をまとった役柄に挑戦。物語の鍵を握る重要な存在として、圧倒的な存在感を放つ。
与沢一香(森田望智)
地元紙「信州タイムス」の記者。『恋は光』『彼女が好きなものは』などで注目される森田望智が、ミステリアスな役柄を演じる。
久喜保(吉澤健)
雄司の祖父で、戦争の記憶を知る重要な人物。ベテラン俳優・吉澤健が、戦争体験者の重みを込めて演じる。
玄田誠(カトウシンスケ)
地元紙「信州タイムス」カメラマン。独特の存在感で知られるカトウシンスケが、印象的な役どころを担当。
久喜伸子(麻生祐未)
雄司の母で、家族の歴史を知る重要な存在。ベテラン女優・麻生祐未が、母親としての愛情と不安を巧みに表現する。
久喜貞市(青年)(小野塚勇人)
戦時中の貞市を演じる。日記の主であり、物語の発端となる重要な役柄。
その他にも、豊田裕大、佐伯日菜子、足立正生などのキャストが脇を固め、物語に深みと説得力を加えています。
5. 映画『火喰鳥を、喰う』ロケ地完全ガイド
本作は2024年8月から9月ごろに、原作者・原浩の故郷でもある長野県を中心に撮影が行われました。松本駅、松本市科学博物館、松本歯科大学、中山霊園
5-1.長野県松本市
5-1-1.松本駅
調査のために関係者が集まった場所です。
松本駅は、松本市の中心にある観光とビジネスの玄関口。多くの路線が乗り入れ、街の歴史や自然へアクセス抜群です。
□〒390-0815 長野県松本市深志1丁目1
5-1-2.松本市教育文化センター(松本市科学博物館)
久喜雄司(水上恒司)がプラネタリウムを鑑賞するシーンが撮影されました。
松本市教育文化センター(松本市科学博物館)は、科学展示室やプラネタリウム、天体観測室を備えた施設です。子どもから大人まで楽しめ、星空観察や科学学習の場として親しまれています。松本駅から車で約15分程度です。
□〒390-0221 長野県松本市里山辺2930−1
5-1-3.松本市郊外
その他、松本市近郊のカフェ、中山霊園などで撮影が行われました。
火喰鳥を喰うのロケ地って松本だよなぁ…
カフェ巡りが趣味だし、そんな遠くも無いから行ってみたいなぁ…
という事で雄司たちが北斗と出会うカフェに弾丸で行ってきました!静かで落ち着いた空間、お店の方もとても親切で、ゆったりと過ごす事ができました
雑貨もとてもおしゃれで可愛かったです! pic.twitter.com/mIpmzSXgUG— 舞綾🌹🍊 (@snRMkisWYdance) September 21, 2025
5-2.長野県安曇野市
安曇野市での具体的な撮影場所には、北アルプスの美しい山並みを背景にした田園風景が使われました。特に安曇野市内の清流や自然豊かな農村エリアでの撮影が中心で、物語の静謐かつ緊張感のある雰囲気を支える重要なロケ地となっています。
5-3.長野県塩尻市
5-3-1.塩尻市内個人宅
地元住民の協力を得て、実際の住宅での撮影が実現。塩尻市の古民家や自然に囲まれた住宅地も撮影地となり、物語の陰影ある映像美に大きく寄与しています。
5-3-2.松本歯科大学
松本歯科大学は映画の冒頭シーンで使用され、大学の建造物が印象的に映し出されています。
□〒399-0704 長野県塩尻市広丘郷原1780 本部館
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原作者の故郷である信州・長野県の豊かな自然と歴史ある土地を舞台に行われ、地元の方々の温かい協力により実現しました。現在、信州フィルムコミッションネットワークではロケ地マップも配布しており、ファンの聖地巡礼にも対応しています。
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— 信州フィルムコミッションネットワーク (@shinshufc) August 1, 2025
6. まとめ:映画『火喰鳥を、喰う』を見るべき理由
【見るべきポイント】
・第40回横溝正史ミステリ&ホラー大賞受賞作を映像化
・水上恒司×山下美月×宮舘涼太のトリプル主演による新鮮なキャスティング
・戦争の記憶と現代の家族を描く壮大な人間ドラマ
・信州の美しい風景をバックにしたリアリティある映像美
・マカロニえんぴつの主題歌「化け物」が作品世界を見事に表現
・ホラーとミステリーの絶妙なバランスで幅広い観客が楽しめる
ホラーが苦手な人も、ミステリーに詳しくない人も、家族の絆や歴史の重みに心を揺さぶられること間違いなし。映画館の大スクリーンで、信州を舞台にした戦慄のミステリーホラーを体験してください!