映画『てっぺんの向こうにあなたがいる』は、女性として世界初のエベレスト登頂を果たした登山家・田部井淳子の実話を原案に、吉永小百合×阪本順治監督のタッグが贈る壮大な人間ドラマです。登頂した栄光だけでなく、妻として、母として、一人の人間として生きた彼女の”人生の山”を描き切る感動作が、あなたの心に新たな”てっぺん”への憧れを刻むはずです。
これから『てっぺんの向こうにあなたがいる』を観るあなたに、物語の深みと見どころを徹底ガイド。この記事を読めば、スクリーンの隅々まで楽しめること間違いなし!
1. 原作(原案)の魅力
1-1. 原案は田部井淳子のエッセイ『人生、山あり”時々”谷あり』
原案となったのは、田部井淳子自身が綴ったエッセイ『人生、山あり”時々”谷あり』です。
女性初のエベレスト登頂という輝かしい偉業だけでなく、突然のガン告知と余命宣告、東日本大震災の被災地の高校生たちとの富士登山プロジェクト、そして亡くなる直前まで山に登り続けた。そんな姿を、本人の言葉で綴った笑いあり涙ありの感動エッセイです。
2025年は女性初のエベレスト登頂から50周年という記念すべき年。その節目に、田部井さんの力強い生き様が映画化されます。
1-2. 田部井淳子のプロフィールと偉業
田部井淳子は1939年生まれの登山家で、1975年に女性として世界で初めてエベレスト(8848m)登頂に成功しました。日本人としても6人目という快挙でした。
さらに1992年には女性初の世界七大陸最高峰登頂者となり、生涯で76か国の最高峰・最高地点を登頂。ネパール王国から最高勲章グルカ・ダクシン・バフ賞をはじめ、文部省スポーツ功労賞、日本スポーツ賞大賞、朝日体育賞(現在朝日スポーツ賞)など数多くの賞を受賞しています。
2016年に77歳で逝去されるまで、「見たことのない景色を見たい」という好奇心を胸に、山を愛し続けた女性登山家のパイオニアです。
1-3. 読者の反応と原案の見どころ
エッセイ『人生、山あり”時々”谷あり』は、登山の世界を舞台にしながらも、人生の困難に立ち向かというメッセージが込められており、多くの読者から「勇気をもらった」「自分も頑張ろうと思えた」と高く評価されています。
登山に詳しくなくても物語に引き込まれる構成や、家族や仲間との絆、余命宣告を受けてもなお前を向き続ける姿勢が大きな魅力です。エベレストという世界最高峰への挑戦と、人生という”山”を登り続ける姿が重なり、読後には深い余韻と高揚感が残る作品となっています。
2. 映画『てっぺんの向こうにあなたがいる』の基本情報
2-1. あらすじ
1975年、エベレスト山頂に向かう一人の女性の姿。一歩一歩着実に山頂(てっぺん)に向かっていくその者の名前は多部純子。日本時間16時30分、純子は女性として初の世界最高峰制覇を果たした──。
しかしその世界中を驚かせた輝かしい偉業は純子に、その友人や家族たちに光を与えると共に深い影も落とした。晩年においては、余命宣告を受けながらも「苦しい時こそ笑う」と家族や友人、周囲をその朗らかな笑顔で巻き込みながら、人生をかけて山へ挑み続けた。
登山家として、母として、妻として、一人の人間として…。純子が、最後に「てっぺん」の向こうに見たものとは──。
2-2. 制作スタッフ
| 監督 | 阪本順治 |
| 脚本 | 坂口理子 |
| 原案 | 田部井淳子『人生、山あり”時々”谷あり』 |
| 製作総指揮 | 木下直哉 |
| 撮影 | 笠松則通 |
| 音楽 | 安川午朗 |
| 配給 | キノフィルムズ |
阪本順治監督が『北のカナリアたち』以来13年ぶりに吉永小百合を主演に迎え、女性登山家の壮大な人生を描きます。
2-3. 監督・阪本順治の過去作と作風
阪本順治監督は、1989年『どついたるねん』で監督デビューし、ブルーリボン賞作品賞など数々の映画賞を受賞。『顔』(2000年)では日本アカデミー賞最優秀監督賞、キネマ旬報日本映画ベスト・テン1位など主要映画賞を総なめにしました。
代表作に、『KT』(2002年)、『亡国のイージス』(2005年)、『闇の子供たち』(2008年)、『大鹿村騒動記』(2011年)、『北のカナリアたち』(2012年)、『半世界』(2019年)、『冬薔薇』(2022年)、『せかいのおきく』(2023年)などがあります。
社会の周縁で生きる人々の感情や葛藤をリアルかつ重厚に描く作風が特徴で、本作では、一人の女性が山と人生に挑み続ける姿を、圧倒的な熱量と繊細な演出で映像化。「誰にも見えない風景を追い続ける孤高の生き様」を描いています。
2-4. 脚本家・坂口理子の得意分野
坂口理子は、人間関係の機微や心の葛藤を繊細に描く脚本を得意とする脚本家です。ドラマ『私が恋愛できない理由』『女子的生活』、アニメーション映画では高畑勲監督と共同脚本を務めた『かぐや姫の物語』、『メアリと魔女の花』などで知られている。
実写映画では『恋は雨上がりのように』(2018年)、『フォルトゥナの瞳』(2019年)、『銀河鉄道の父』(2023年)などを手がけ、アニメーションと実写の双方でその才能を発揮し、高い評価を集めています。
3. 映画「てっぺんの向こうにあなたがいる」の見どころ
3-1. ストーリーの魅力
田部井淳子をモデルとした主人公・多部純子が、青年期のエベレスト女子登山隊結成から、女性初の登頂成功、その後の栄光と苦悩、家族との関係、晩年の闘病と被災地の高校生たちとの富士登山プロジェクトまでを描きます。
登山家としての挑戦だけでなく、一人の人間としての葛藤や成長が丁寧に描かれており、誰もが共感できる普遍的な人生のドラマとなっています。「人生は八合目からがおもしろい」というキャッチコピーが示すように、困難を乗り越えながら前進し続ける姿に、勇気と希望をもらえる作品です。
3-2. 演出や映像美
阪本順治監督ならではのリアリティと重厚感がある映像は、エベレストをはじめとする世界の高峰、日本の富士山、そして四季折々の山々の美しさを細部まで再現。登山の厳しさと美しさ、山頂からの絶景、そして家族の温かさや日常の風景まで、まるで”本物の山”に登っているような没入感を味わえます。
撮影は関東6県、富士山、長野、山梨、福島、富山など各地で行われ、「過酷な撮影」だったと監督自身が語るほど、リアルな登山シーンを追求。映画ならではのダイナミックな表現で、実写ならではの臨場感を体験できます。
3-3. 音楽や演技のポイント
音楽は阪本順治監督作品でも評価の高い安川午朗が担当し、壮大な山々のスケールと繊細な人間ドラマを表現する楽曲が物語を彩ります。
主演の吉永小百合は、映画出演124本目となる本作で、田部井さんが実際に愛用していたピアスを撮影中身につけるなど、徹底した役作りでこの役に向き合いました。人生初のピアスというエピソードも話題となりました。
青年期の純子を演じるのんは、エベレスト女子登山隊のリーダーとして仲間を引っ張る力強さと、家族への思いやりを併せ持つ純子の姿をリアルに体現。さらに、佐藤浩市や天海祐希らが家族・友情・苦しみの実感を重ね、実力派俳優陣による細やかな感情表現が物語の感動をさらに際立たせます。
3-4. 登山シーンの迫力
本作最大の見どころの一つが、圧倒的なスケールで描かれる登山シーンです。吉永小百合自身が実際に日和田山や富士山などに登って撮影されたリアリティと臨場感が最大の魅力です。
富士山、立山連峰、入笠高原など実際の山々でロケが行われ、吉永小百合をはじめとするキャストも実際に登山を行うなど、リアリティを追求。ロケ地では5合目や7合目など高所での過酷なシーンも敢行され、観る人にダイレクトにリアルさが伝わります。
壮大な人間ドラマ、圧巻の映像美、心に響く音楽と演技、そして登山の臨場感が一体となった、まさに”人生の山”を描き切った映画です。
4. キャスト紹介
4-1. 主要キャスト
多部純子(吉永小百合)
世界で初めてエベレスト登頂に成功した女性登山家。登山家として、母として、妻として、一人の人間として困難に挑む。闘病の中でも笑顔を忘れず、人生の“頂”を目指す姿が描かれる。
多部純子(青年期)(のん)
エベレスト女子登山隊として仲間を引っ張り、世界最高峰に挑む。純子の青年期の情熱と挑戦の日々を演じる。
多部正明(佐藤浩市)
妻の夢を応援し、献身的に支え続ける純子の夫。山で純子と出会い、それ以降、彼女の挑戦を見守り、家族を守り続ける存在。
多部正明(青年期)(工藤阿須加)
山で純子と出会い、それ以降、妻の夢を応援し続ける夫の青年期を演じる。
北山悦子(天海祐希)
編集者。若い頃からの友人で共に世界の山々を登る相棒。エベレスト登頂の相棒でもあり、純子をそばで支え続ける親友。
北山悦子(青年期)(茅島みずき)
新聞記者。取材をきっかけに純子と出会い、そばで支え続ける親友の青年期を演じる。
4-2. その他のキャスト
多部教恵(木村文乃)
多部家の長女。家族思いで、弟を見守る姉。母の挑戦を理解し、家族を支える存在。
多部真太郎(若葉竜也)
多部家の長男。母と比べられることに反発する息子。母への複雑な思いを抱えながら成長していく。
新井涼子(和田光沙)
エベレスト女子登山隊のメンバー。純子たちと共にエベレスト登頂に挑む。
岩田広江(円井わん)
エベレスト女子登山隊のメンバー。
清水理佐子(安藤輪子)
エベレスト女子登山隊のメンバー。
丸山かおる子(中井千聖)
エベレスト女子登山隊のメンバー。
その他にも、実力派俳優陣が脇を固め、物語に多彩な人間模様を加えています。
5. 映画『てっぺんの向こうにあなたがいる』ロケ地完全ガイド
本作は2024年から2025年にかけて、日本各地の山々や関東圏で撮影が行われました。実際の山でのロケにこだわり、過酷な撮影が行われました。
吉永小百合 主演
映画『てっぺんの向こうにあなたがいる』山での撮影・実話を基にした作品ならではの苦労など制作秘話を阪本順治監督が語るhttps://t.co/DDSPbBwIor#てっぺんの向こうにあなたがいる pic.twitter.com/989vTI5aM3— ムービーコア【公式】 (@movie_core2014) October 3, 2025
5-1. 富士山
田部井淳子さんが晩年取り組んだ、東日本大震災の被災地の高校生たちとの富士登山プロジェクトのシーンが撮影されました。日本最高峰の富士山は、物語においても重要な意味を持つ場所です。
5-2. 長野県(入笠高原)
長野県富士見町の入笠高原で登山シーンの撮影が行われました。美しい高原の風景が映画に彩りを添えています。
伊那谷フィルムコミッションが撮影をサポートし、吉永小百合さん主演映画の誘致に成功しました。
5-3. 富山県(立山町)
富山県立山町で、エベレスト登山のシーンが撮影されました。立山連峰の壮大な景色が、エベレストの過酷な環境を表現するのに使われています。
エキストラ募集では、登山経験者限定でエベレストの登山ガイド役が募集されるなど、リアリティを追求した撮影が行われました。
5-4. 福島県(郡山市)
福島県郡山市で、被災地の高校生たちとの交流シーンなどが撮影されました。東日本大震災後の田部井さんの活動を描く重要な場面です。
5-5. 埼玉県(日和田山)
埼玉県日高市にある日和田山で、登山シーンの撮影が行われました。首都圏からアクセスしやすい山として人気の日和田山が、映画の舞台の一つとなっています。
日和田山は、主人公のモデルとなる田部井淳子さんがトレーニングに登っていた山です。
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映画『てっぺんの向こうにあなたがいる』の撮影は、実際の山々や関東各地で行われ、リアリティあふれる映像が完成しました。ロケ地を訪れれば、映画の世界をより深く体感できます。
6. まとめ:映画『てっぺんの向こうにあなたがいる』を見るべき理由
【見るべきポイント】
・女性初のエベレスト登頂を果たした登山家・田部井淳子の実話を映画化
・吉永小百合×阪本順治監督が13年ぶりにタッグを組んだ集大成的作品
・登山家としてだけでなく、母、妻、一人の人間としての姿を描いた壮大な人生ドラマ
・実際の山々でのロケによる圧倒的な映像美と臨場感
・音楽・映像・演技、すべてが”てっぺん級”のクオリティ
・「人生は八合目からがおもしろい」という普遍的なメッセージ
登山を知らない人も、人生の困難や夢、家族や友情に心を揺さぶられること間違いなし。2025年は女性初のエベレスト登頂から50周年という記念すべき年。映画館で、あなた自身の”てっぺん”を見つけてください!



















