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【ネタバレあり】映画『パラサイト 半地下の家族』徹底解説と感想

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どうも、こんにちは。ズバ男です!

この記事は映画『パラサイト 半地下の家族』をネタバレありであらすじに沿って徹底解説していきます。感想もありますよ。

この映画の自己評価は4.0点(5点満点)です。

物語の前半と後半では全く違う作品のようで、途中からは全く先が読めない風雲急を告げるような展開が手に汗握るものでした!

※完全に”ネタバレ”なので未鑑賞の方はご注意ください

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出典元:https://eiga.com/movie/91131/gallery/

【作品情報】

2020年 132分 韓国 PG12

カンヌ国際映画祭でパルム・ドールを受賞すると、アカデミー賞では6部門にノミネートされ作品賞など4部門を受賞した。非英語作品として作品賞を受賞したのは史上初めての快挙となった。

日本でも公開されると大ヒットとなり、アメリカではドラマ化されることが決まっている。

【監督の紹介】

◆監督/脚本:ポン・ジュノ

韓国出身/1969年9月14日生まれ

アカデミー在学中に製作した短編作品がバンクーバー国際映画祭と香港国際映画祭で注目される。

2000年に『ほえる犬は噛まない』で長編映画の初監督をすると、『殺人の追憶』では実話を基にした作品が韓国で大ヒットする。

さらに『グエムル-漢江の怪物-』が大ヒット、同作が韓国の観客動員記録を更新する快挙を達成するなど韓国を代表する映画監督となっている。

その後も発表する映画が次々と国際的な映画祭で高く評価され、ハリウッドにも進出を果たしている。

【登場人物の紹介】

◆キム一家

キム・ギテク(父親):ソン・ガンホ

キム・チュンスク(母親):チャン・ヘジン

キム・ギウ(息子):チェ・ウシク

キム・ギジョン(娘):パク・ソダム

 

◆パク一家

パク・ドンイク(夫):イ・ソンギュン

パク・ヨンギョ(妻):チェ・ヨジョン

パク・ダヘ(娘):チョン・ジソ

パク・ダソン(息子):チョン・ヒョンジュン

 

◆その他

ムングァン(パク家の家政婦):イ・ジョンウン

グンセ(ムングァンの夫):パク・ミョンフン

ミニョク(ギウの友人):パク・ソジョン

 

【完全ネタバレあり あらすじ】

ここでは完全にネタバレしながらストーリーに沿って徹底解説していきます。(感想も交えています)ネタバレはピンク色元ネタは緑色感想は青色》で色分けしてあります。

※ここからは本当にネタバレなので映画を観てない方は注意してくださいね

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キム一家は全員失業中の無職状態で貧困地区にある半地下のアパートに住んでいました。この時は貧しくとも明るく生活してますね・・・

宅配ピザのピザ箱を組み立てる内職などをしながら、何とか生活していました。父親・ギテクの組み立てた部が全部不良だったようです。動画で早く組めるように勉強していたのに(笑)

キム家にはネット環境もなく近所のWifiを無断で拝借していましたが、パスワードが変わったようで使えなくなってしまいました。最近オープンしたカフェのWifiがトイレの隅で使えるようでギウと家族は一安心です。トイレの上に座りながらスマホを使うシーンはこの作品を象徴するものでしたね

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出典元:https://eiga.com/movie/91131/gallery/4/

ある日ギウの友人であるミニョクがキムの家を訪れ、「山水景石」という置物をプレゼントしました。山水景石とは富裕層の人たちが鑑賞用に飾るもので、金運などを呼び込むパワーストーンとされています 多分この石は偽物です。後半では水に浮くし、ギウは頭に落とされても生きていましたものね

ギウはミニョクに飲みの席で自分が留学している間、自分が担当している金持ちパク一家の娘・ダヘの英語の家庭教師を頼まれます。ギウが頭がいいのを見込んで しかもミニョクはダヘのことが好きなようで大学進学したら交際を申し込むというのです。ミニョクはギウの事を信用して、どうしてもという感じでお願いしました。しかたがないのでギウは渋々引き受けることにしました。自分自身は大学受験には何度も失敗していて自信がなかったのと、まだ大学に行くことを諦めていなかったのでお金が必要だった、そんな事から複雑な心境だったと思います

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ギウは現役の大学生という設定での家庭教師だったので、バレないようにギジョンに偽造の学生証明書をつくってもらいました。さすがに器用すぎだし、ギジョンのスキルが高すぎる・・・ ここからのキム家の行動力はすごいです

そしてギウは有名な建築士が建てたという豪邸に住むパク家を訪問しました。ギウはヨンギョ夫人にすぐに気に入られ、家庭教師として雇われることとなりました。ここでのギウの振る舞いぶりはコメディなぐらい上手です(笑)

夫人の話だと息子のダソンに美術の家庭教師を探しているという事で、ギウは美術大学を目指しているギジョンをイリノイ州の大学で芸術療法士を学んでいると嘘をついて推薦する。

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出典元:https://eiga.com/movie/91131/gallery/7/

ギジョンはネットで得た知識でたまたまダソンについて説いたところ、たまたま? 上手くヨンギョ夫人の心をつかんだようです。ダソンの美術の家庭教師として雇われることになりました。ギジョンの振る舞いもコメディなぐらい上手くて笑っちゃいました 美大を目指すだけあって、絵の知識は多少あるのか鋭い指摘が冴えわたります。そして、ダソンの書いた絵にも伏線があります

そこにパク家の主人・ドンイクが帰ってきました。女性を一人で帰すのは物騒だとドンイクは運転手に家まで送るよう命じました。

運転手は家まで送り届けるというのですが、身元がバレるとマズいので近くの駅まで送ってもらうことにしました。ここでギジョンは何か思いついたかのように自分のパンツをシートの下に挟み込みました。←ギジョンは自分がこの運転手と関係を持ったようにみせるための仕掛けをしたんですね。ここまですごいとファンタジーです(笑)

ギジョンの思惑通り、運転手は疑いを掛けられ解雇させられました。そしてギジョンは父親のギテクを素性を偽って、運転手として紹介しました。まんまと父・ギテクも運転手として雇われることとなりました。ホントにまんまとですよね

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そしてなんとキム一家は母・チュンスクを家政婦として雇わせて、パク家に完全に寄生しようと計画します。しかしパク家の家政婦ムングァンはこの家の前の家主から続く家政婦で一家からの信頼は絶大でした。見るからに”家政婦は見た”状態の人ですよね(笑)

ムングァンが重度の桃アレルギーだという事を知ったキム一家は総出で罠を仕掛けます。ムングァンが結核の疑いがあるというような工作をし、ヨンギョをまんまと騙してムングァンを解雇することに成功しました。マジでまんまと騙せ過ぎます。ここまでみると『天才詐欺家族』っていうタイトルの映画ですね(爆笑)

そしてギテクは架空の高級人材派遣会社を紹介し、チュンスクを家政婦として雇わせることに成功しました。パラサイト(寄生虫)大成功の瞬間ですね

ギウとダヘはどんどんと親密な関係になっていきます。友人・ミニョク可哀そうに

パク家の末っ子・ダソンは感性が豊かなのか、キム一家から同じ”匂い”がすると言い出します。この匂いが大きな伏線となります

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パク家はダソンの誕生日だという事で留守をチュンスクに任せてキャンプに行きました。

パク家の留守の間、キム一家は我が物顔で酒や食べ物を飲食しご満悦でした・・・。良かったのはここまでで、ここから一気に物語は変わっていきます・・・

家のチャイムが突然鳴り響きました。外は嵐のような雷雨です。めちゃくちゃ、ホラーな展開ですよね

仕方がないのでチュンスクが対応すると、そこにいたのは解雇されたはずのムングァンでした。チュンスクは他の3人に身を隠すよう促し、ムングァンを家に入れました。3人の隠れるスピードはゴキブリ並みの速さでした

ムングァンが言うにはパク一家も知らない地下室に忘れ物をしたというのです。しょうがないのでチュンスクはムングァンを地下室に入れるのをOKしました。ムングァンがなかなか戻ってこないので、チュンスクは地下室に行ってみると そこにはなんとムングァンの夫・グンセがいたのです。すごい展開になってきた・・・

借金の取り立てから守るためずっとこの地下室に身を隠して住んでいたのです。ムングァンは内緒にしてほしいとチュンスクに懇願します。その時、身を隠していた3人が足を滑らせ階段から転げ落ちました。会話の内容から4人が家族だと気付いたムングァン勢はチャンスとばかりにスマホでそのやり取りを撮影しました。この映画にでてくる人は惚れ惚れするぐらい頭がいい人が多く、その行動力には感服しますね

形勢が逆転して縛られているキム一家・・・、そこへヨンギョから電話がありました。キャンプが中止になって今すぐ帰るとのことです。”全員が慌てふためく×2”状況になり、キム一家はムングァンとグンセを縛り付けることに成功し地下室に閉じ込め、部屋を片付けました。チュンスクがムングァンを地下室に押し込んだときに階段から転げ落ちたのがムングァンにとって致命傷となりました チュンスクは元ハンマー投げのメダリストです

チュンスクはヨンギョにたのまれた料理をなんとか間に合わせます。めちゃくちゃ早業でした 残りの3人は机の下に身を隠しました。隠れるスピードはほんとゴキブリ並みの速さです

ヨンギョはチュンスクに何年か前のダソンの誕生日のエピソードを話します。話によるとその夜にダソンは家で幽霊を見たのだというのです。この幽霊は地下室からたまたま出てきたグンセだったのですが

ダソンは庭にあるテントで寝ると言い、ひとりでテントへ向かった。心配なドンイクとヨンギョはテントの見えるソファで寝ることにしました。ソファの近くのテーブルの下には隠れた3人がいます

ドンイクはヨンギョにギテクの体臭のことを話します。この”匂い”のことが大事件と繋がります

時計回りのシーン・・・。ここでは少し過激なものがありましたね。家族での視聴は注意が必要です。 実はこのシーンにはたくさんの意味の伏線がはられていますよ。 監督いわくこのシーンが異様に長いのは、視聴者にもキム一家と同じ”早く終わってくれー”といもどかしさを体感させる狙いがあるようです

キム一家は今後どうなるか分からない状況になってしまいました・・・。ギテクはギウとギジョンにある”計画”が状況を打破すると話します。これは嘘なんですけどね

そして3人は隙をみて何とか逃げ出しました。

自宅に戻ると大雨の洪水によって半地下アパートは完全に水没してしまっていました。トイレからも水が溢れていました。ギジョンはトイレの便座に乗ってそれを防ぎます。序盤のシーンとここでリンクしていますね。ミニョクにもらった石も浮いていたし・・・。

3人は近くの体育館に避難することになりました。そこでギテクのある”計画”が”無計画”だったことを知ります。ギテクが言うには「計画しなければ予定外の事も起きない」というのです。ギテクはもう根っからの地下人間なんです

地下室に閉じ込められているグンセは照明スイッチでモールス信号を発し助けを求めています。ダソンは気づきましたが、トラウマがあり言葉に出なかったのでしょう

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出典元:https://eiga.com/movie/91131/gallery/14/

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パク家はダソンのためにキャンプの代わりに誕生パーティーを開く事にしました。家政婦として雇われているチュンスクはもちろんですが、ギテクも手伝いとして呼ばれました。ヨンギョの買い物とかにめっちゃ使われていました ギウとギジョンも招待され、結果としてキム一家も総出で参加することとなりました。この2人のヨンギョからの信頼は完全なるものになっていましたね

そしてパーティ当日にギウは「山水景石」を持って、地下室に閉じ込めてあるムングァン達の様子を見に行きました。完全に”石”に取り憑かれています・・・ 待ち伏せていたグンセにギウは捕まってしまいます。ムングァンは死んでしまっています ギウは何とか逃げようとしましたが、「山水景石」で何度も殴られ倒れてしまいました。ここからちょっと怖い映像が続くので辛いです

地下室からでてきたグンセはおもむろにキッチンにあった包丁を手に、パーティー会場に乱入するとそこにいたギジョンの胸に包丁を刺しました。慌てふためくパーティー会場…。それを見ていたダソンが白目むいて失神してしまいました。

チュンスクはグンセと揉み合いとなり、近くにあったバーベキューの串でグンセを刺し殺しました。ドンイクはダソンを病院に連れていくためにギテクに近づきますが、グンセの”匂い”に後ずさりしました。その行動で何かが外れたギテクは衝動的にドンイクを刺し殺してしまいます…。テーブルの下で”匂い”の話を聞いてからギテクはそのことをすごく気にしていましたからね そしてギテクそのまま行方をくらました…。

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何とか一命をとりとめたギウはギウ命は助かったが精神的にかなり不安定になっていて妄想も見ている状態?チュンスクと共に執行猶予付きの有罪判決を受けます。ギジョンは死亡したようで合同墓地のようなシーンでチュンスクが泣き崩れます 主人を亡くしたパク家は豪邸を去りました…。

しばらく経ったある日、ギウは高台から豪邸を双眼鏡で偵察してみると、以前グンセがモールス信号に使っていた照明が点滅しているのを発見します。ギウはその点滅を調べてみるとギテクからのメッセージ(モールス信号)だと気づきました。ギテクは生きていて、今もあの豪邸の地下室に身を潜めていたのです

ギウはギテクを助けるため、あの豪邸を買い取ることを決意するのでした・・・。

 (完)

 

【感想とまとめ】

この作品は格差という韓国が抱える社会問題に焦点をあてたドラマでした。

キム一家がどれだけ偽っても埋まらない大きな壁がそこにはあって、パク一家に寄生したかにみえた前半部分からの、転落を描いた後半部分への切り替え方は見事でした。

物語のキーとなっていたのが、格差社会を表現した「匂い」だったことは明らかでしたね。匂いに気づいていなかったギテクが殺人を起こして、匂いに気づいていた娘のギジョンは殺されたのを考えると、この「匂い」というキーが大きな意味を持っていたんだと思いました。

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【自己評価】★★★★☆(4.0点)

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自己評価を4点にしたのは後味の悪さからです。ここは個人差があると思いますので客観的にみたら5点満点に近い作品だと思いました

 

最後まで読んでいただきありがとうございました。